「引きこもり」の方は、今どんな悩みを持っているでしょうか。
引きこもっている家族がいるという方、今どんなことを悩んでいるでしょうか。
それぞれが違った悩みを持つことは当然で、恥ずかしく思うことでも情けなく思うことでもありません。
今回はその方々の「悩み」について、引きこもりの特徴や対策と合わせてお話しします。
引きこもりとは
ではまず、引きこもりとはどんな状態を指すのでしょうか。
厚生労働省の定義によると、社会的参加を回避し、6カ月以上にわたって家庭にとどまり続けている状態だそうです。
しかし、6カ月がたっていない状態でも引きこもりと言われることはありますし、本人が「自分は引きこもり」だと認識し、話しているケースもあるでしょう。
あくまで公式的な定義として、押さえておくことが大切です。
引きこもりの特徴
引きこもりになる原因は様々ですが、ある程度共通する特徴が見られています。まずは、引きこもりの特徴について見ていきましょう。
ただ、これからお話しする内容はあくまで傾向ですし、特徴=原因ではありません。
こういった傾向自体が悪いわけではありませんし、原因はそれぞれです。ぜひ、そういった目線で見ていただけたらと思います。
見かけ上の特徴
- 無口
- 内弁慶
性格の傾向
- 内向的
- ナイーブ
- 自意識が強い
- 真面目
- 人と比較しがち
- 自分が嫌い
体験の傾向
- 不登校
- 本人にとって苦痛な競争体験
- 失敗・挫折・恐怖体験
- ルールの強制体験
- 発達障がいやうつ病の発症
- 引きこもれる環境の存在
引きこもりになる人には、こういった傾向があるようです。
また引きこもりの原因は1つに決められるものではありません。何故ならその原因は、日々の時間の積み重ねの中で、複数の原因が複合的に絡まっているからです。
また内向性や真面目さ、人と比較してしまうこと…それらは直接的な「悪」ではありませんし、1つの個性です。その点は、忘れずに生活していただけたらと思います。
引きこもり当事者がもつ悩みBEST3
そんな傾向のある引きこもりの方ですが、いったいどんな悩みを抱えているのでしょうか。
今回、ネットの相談プラットフォームや知恵袋、書籍などを調査し、引きこもり本人とご家族の悩みについてランキングを作成しました。
しかしこれらはあくまでアウトプットされたお悩みで、「引きこもりはこれに悩んでいる!」と断言できるものではありません。その上で「こういう悩みを複数の人達が持っているんだ」と、参考にしていただけたらと思います。
1位:これからどうしたら良いか分からない
引きこもっている今の状況から、将来のことについて悩んでいらっしゃる声が多く挙がっていました。
下の例を見る限り、それぞれ違う悩みに見えるでしょう。しかし、今の現状に何かしらの不安を抱き、どうしたら良いか考えられています。
そういった、「今後のこと」にまつわるお悩みが1位になりました。
参考URL
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2019/0307/891389.htm?o=0
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2018/1026/869924.htm
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2018/1109/872118.htm
2位:社会に出るのが怖い
社会に対する不安や恐怖についての悩みも多く集まっていました。
1位と重複していた方もいらっしゃいましたが、それぞれが「社会」に対する不安と戦っているように感じました。
また、「引きこもりを抜け出したい(社会復帰したい)」という悩みと重複する人が全体の7割ほど。
社会へ復帰したいけれども、恐怖がある…そんな悩みを持つ方も多いようです。
参考URL
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2019/0717/906792.htm
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2020/0329/943722.htm
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2019/0307/891389.htm
3位:自分と同じ状況の人と話したい
漠然とした不安から、自分と同じ状況の人に話を聞いてほしいという悩みも上がりました。
ちなみに私の友人も、大学在学中にこういった思いを抱えながら家に数カ月閉じこもった記憶があると言っていました。
「自分の状況と同じ人がたくさんいる」を知れるというのは、安心に繋がるのではないでしょうか。
もし安心に繋がるのであれば、こういったサイトを活用することはかなりおすすめです。
参考URL
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2020/0518/952546.htm
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2020/0718/963031.htm?p=0
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2017/0503/802901.htm
他のお悩み
他にも「生きにくい」「日々すべきことをうまくこなせない」といった声があがっていました。今こなすべき仕事や課題、家事がある方の場合、それらをいかにこなすかはより重要な悩みとなってくるでしょう。
引きこもりのご家族がもつ悩みBEST3
続いては、ご家族が持つお悩みです。それぞれ、具体例と一緒に見ていきます。
傾向として、全体の6割ほどが1位に集まっていました。ご本人をずっと見守ってきたご家族だからこそ、悩んでしまうことなのでしょう。
しかし調査していて、ご家族の方は引きこもりご本人やその他の相談者と比較して、かなり相談数が少ないよう感じました。
『hikikomori@NHK ひきこもり』でも、相談者の65%が本人、35%がご家族というデータが出ていました。
それだけ誰にも相談できず、悩まれているご家族の方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
1位:どう見守って(関わって)いいか分からない
引きこもりご本人とどう関わっていいか、見守り方に不安を感じていらっしゃる方が多くいらっしゃいました。
ご本人をずっと見てきたご家族だからこそ、不安も大きいでしょう。
参考URL
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2020/0329/943699.htm
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2018/1216/877743.htm
2位:今後養っていけない
今後、引きこもりが長期化した時にどうしたらいいかという、将来に対しての不安があがっていました。
このお悩みついては、内閣府のデータも参考になります。こちらには年代別の引きこもり継続年数など客観的なデータが載っています。あくまでデータですので、参考までにご覧ください。
参考URL
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2020/0319/941946.htm
3位:本人にしてあげられることはないか
3位は1位と大変ニュアンスの近い部分でしたが、何かできることはないか、見守ることしかできないのか悩まれていらっしゃる方がいらっしゃいました。
見守ることそのものも、とても難しいことです。見守ることができているだけでも、じゅうぶんに必要な対策の1つをされています。その点はぜひ、ご理解いただけたらと思います。
参考URL
https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2020/0803/965661.htm?p=0
他の悩み
他には、引きこもりに対して家族で意見が割れているケースもありました。賛成反対だけでなく、関わり方についても様々な考え方が出ています。
引きこもっている家族を心配する気持ちの形はそれぞれです。ぶつかることは、必ずしも悪いこととは言えないでしょう。
参考書籍
ここでいくつか、おすすめの書籍をご紹介します。簡単におすすめできる点もお話ししますので、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
hikikomori@NHK ひきこもり
引きこもりにまつわるデータや体験談、具体的な施策を知ることができる書籍です。NHKのプロジェクトということもあり、本当にしっかり調べられています。
特に、今後のことを考えたいご家族におすすめの書籍です。
私がひきこもった理由
15人の引きこもりの方にインタビューした内容がよりリアルに、そのままに描かれています。ご本人はもちろん、引きこもりの方がどんなことを悩み、考え、生きているのか知りたい方におすすめの1冊です。
安心ひきこもりライフ
「安心ひきこもりライフ」を推奨する、切り口のユニークな書籍。しかし、生きていくことについての素敵な価値観に触れることができます。引きこもりご本人、ご家族どちらにもおすすめの著書です。
引きこもり当事者ができる対策
引きこもりの方や、引きこもりの家族の方が持ちやすいお悩みについて見ていきました。
これらを踏まえて、引きこもり本人におすすめの行動や対策についてお話しします。
心持ちについて
- 焦るときではない
- 責めるときでもない
- 自身の心の動きを大切に
この3つは、引きこもり生活を過ごすうえで大切な意識です。あなたにとって、引きこもる時間は無駄なものでも意味のないものでもありません。価値のある時間です。
難しいことは百も承知ですが、焦りを手放し、責める言葉を手放し、自身の心を大切にしていただけたらと思います。
おすすめの行動
- 引きこもりの本やブログを読む
先ほどご紹介した本や、ブログを読んでみることをおすすめします。特にご本人のブログなら、同じような境遇の方が見つかる可能性もありますし、参考になることも多いでしょう。
- 小さな目標を立てて、実行してみる
「小さい目標でないと達成できない自分が情けない」と思うかもしれませんが、この考え方自体は一流のビジネスマンも採用しているものです。興味のある方は、様々な書籍をさらってみると良いでしょう。
- 周りに相談する
ネットでももちろん大丈夫ですし、友人でも、見ず知らずの人でも大丈夫です。最初は怖い気持ちが強いと思います。ですので決して無理はせず、頼りたい人へ頼りましょう。
- 部屋の中に楽しみを見出す
これも1つの手段でしょう。筋トレや軽い運動など、健康のために動いてみるのもおすすめです。もちろん仕事でも大丈夫。このネット社会では、家にいながらお金を稼ぐ方法もたくさんあるんです。
ご家族ができる対策
続いて、ご家族の方にお伝えしたい考え方や対策についてお話しします。
まずはご家族が置かれやすい状況について整理しましょう。
- 引きこもり本人に対しての不安や不満が高まる
- 外出や労働を本人に促したことで、本人の引きこもりの程度がいっそう高まる
- 引きこもりにマイナスの感覚がわき、周りに隠したり社会的な支援を避けたりする
こういった環境は、引きこもりのご家族で非常に起こりやすくなっています。しかし、こういった感覚を持ってしまうこと自体は悪いことではありません。ご家族にとってイレギュラーな出来事が起こったことで、不安や葛藤は当然、起こります。
そこで、民間の支援センターが行ったアンケート調査についてまとめました。これは「引きこもりの状況が改善したとき、どのような家族の対応が良かったと思うか?」という質問へ、ご家族が答えたものです。
・本人の意思を尊重して、やりたいことで許されることはすべてやらせたこと
・親が講座や相談会に参加し、「支援の会だより」や主治医の話を通して勉強し、落ち着いた対応ができるようになったこと
・あまり先のことは考えないで、今の今を少しでも安心して楽しく過ごさせてやりたいと心がけ、本人の気持ちを理解できるようにしたこと
・本人に親の考えを強制しないようにしたこと
・親の不安を整理して子どもに接するようにしたこと
・本人の現状を受容し、子から信頼される親になろうと努めたこと
・無理をさせず、長い目で見守ったこと
・本人と家族が心から信頼できる医師に出会ったこと
・ときには不本意なことでも、医師の指導に従ったこと
・焦らず時機を待ったこと
・長くかかるので、親がカウンセラーに大切なことを教えてもらい、希望をもったこと
話をとことん聞いてやったこと
・親が自分の生きがいを見いだし、子離れしたこと
以上のように専門家の意見をよく聞き、家族がカウンセリングマインドを身につけることが、引きこもりという状況を改善する早道といえます。
ぜひ、こういった心持ちも参考にしていただけたらと思います。
まとめ
引きこもっている状況が続くと、それだけで色々なストレスや思いが積み重なっていきます。それはご本人、ご家族どちらにも言えることです。
しかし、そういった積み重ねの時間は決して悪い、間違っているものではありません。
それだけは心のどこかに、置いていただけたらと思います。